年々、休日の予定が入らなくなることに焦りを感じる今日この頃ですが、それならばと21世紀枠での出会いを求めるべく、例え1人でも積極的に外出しています。
そんな孤独なアラサー男子が10月の3連休に訪れるは、100名山の一角、両神山。
標高は1723mで、奇しくも利尻富士とほぼ同じ。
(利尻富士は1721m)
このブログを読んでくれている方はご存知かと思いますが、私は海抜0mから利尻富士に登っています。
両神山の日向大谷の登山口は標高600〜700mなので、先日の利尻富士登山に比べて圧倒的に楽なはず。
11月は人との登山を2回も控えているので、肩慣らしにサクッと登って温泉でのんびりしよう。
そう気楽に考えて山に入った私を待っていたのは、過酷な岩場の数々だった・・・
登山口までのアクセス

タイトルの通り、今回は日向大谷コースで登ってきました。日向の読み方は「ひゅうが」ではなく「ひなた」。
秩父鉄道の三峰口駅から、小鹿野町営バスで登山口まで移動します。


駅を出て右に町営バスのバス停があります。
駅正面のバス停は西武バスのバス停で、三峯神社に行く場合はそちらを利用。
始発の7時48分発の場合、日帰り温泉の薬師の湯で日向大谷行きのバスに乗り換えます。
三峰口駅にはコンビニや商店は無いので、食料は予め買っておきましょう。自動販売機はあります。

岩場や鎖場が苦手な場合、西武秩父あたりの宿に前泊して、三峰口7時48分発のバスに乗ることを強くオススメします。(東京からだと始発電車でも7時48分は間に合わない)
日向大谷コースの往復コースタイムが6時間程度(休憩時間除く)と書いている登山サイトもありますが、筆者のようなライトな登山愛好家だと相当頑張らないと6時間は厳しいです。
次の8時55分のバスは日向大谷バス停直通ですが、登山開始は10時になります。
日向大谷バス停から三峰口駅や西武秩父駅に戻る場合は終バスが1715になるので、少しでもペースが落ちると乗り遅れるリスクが生じます。


小鹿野町営バスで他の路線に乗り換える場合、最初のバスで運賃をまとめて支払い、次のバスでは最初のバスで貰える乗継券を提示します、
7時48分三峰口発のバスは「薬師の湯」で乗り換えなので、上記のルールで乗り換えます。
運賃は400円。

「薬師の湯」バスターミナルのトイレは清潔でした。
待ち時間が10分くらいあるので、ここで済ませておくのがおすすめ。

山道や小さな集落を通り、日向大谷へ。
三峰口からの所要時間はトータル1時間ほど。

日向大谷バス停には、トイレはありますが自動販売機はありません。
ただし民宿の両神山荘があるので、そこで飲み物は買えます。山バッジも購入できます。
車で来る場合、両神山荘で駐車料金を支払うみたいです。たしか1000円だったような。
登山口〜会所


8時45分に登山開始。
バス停前の坂を上がると両神山荘の前に出るので、案内板に従って左に進みます。

細い道を歩いて山に入ります。

序盤はアップダウンがありつつも、樹林帯の緩やかな道を歩いていきます。
ちなみに山頂付近まで景観はほぼ望めません。

両神山は名前から何となくイメージがつくように修行の場、霊峰です。
随所で山岳信仰の要素を垣間見ることができます。


序盤は緩やかなトラバース道の趣きで、すいすい歩けました。俺の登山スキルも上がってきたな!と勘違いしてしまうくらいに。
最序盤にして、アップダウンのダウンが多いのが少々気になりましたが・・・
あと道は緩やかだけど道幅がものすごく狭い箇所がいくつもありました。
滑落しないように、地味に集中力が求められます。

↑デカガエル

序盤で唯一の鎖場。
この頃は、「適度な刺激があって楽しい山だな!」なんて思っていたよ・・・


霊峰らしくてテンションが上がる。

緑が目に優しく、会社で破壊された脳が回復してゆく。

9時24分、会所に到着。
ここにはベンチとテーブルがあり、休憩も可能。
会所〜清滝小屋

会所で水分補給し、標識に従って清滝小屋を目指します。
写真奥の橋を渡って対岸へ。

ここから登りが増えていきますが、道自体はまだ歩きやすい部類です。

日向大谷コースの全体で言えることとして、樹林帯メインな上に「両脇が崖」な道が少ないので、道が分かりにくいところが結構ありました。
登りより下りで特にそう感じましたね。
ピンクロープや写真のような目印を見落とさないようにしましょう。

後述する八海山というポイントまでは渓流を眺めながら歩きます。
これまで登ってきた荒島岳、塔ノ岳、丹沢、利尻富士、ニセコアンヌプリでは川なんて見なかったので、かなり新鮮。

↑デカキノコ

何回か沢渡りする箇所がありますが、水量はそんなに無いので普通の登山靴なら余裕でしょう。
少々滑りやすいので注意。


10時15分、八海山に到着。
山とはあるが道中の低山という訳ではなく、景観は皆無。ここで少し水分補給しました。
ちなみに写真2枚目の石像は大頭羅神王と言います。


八海山から上は鎖場あり、岩場あり、急登ありと一気にキツくなっていきます。
10月で涼しかったから良かったけど、夏なら死んでたな。


途中、弘法之井戸という水場があります。
こちらは小鹿野町のウェブサイトや両神山の案内地図でも明確に飲用可とあるので、心配なし。
私も下山時に汲みましたが冷たくて美味しかったです。
水はかなりチョロチョロなので貯まるのに時間はかかりますが。

木の根と岩でかなり歩きにくい。
登りは体力を消耗するし、下りはツルツル滑るのでこの区間はしんどかったです。

11時ちょうどに清滝小屋に到着。
清滝小屋〜両神神社

清滝小屋は山小屋としての営業を休止しており、2025年現在、避難小屋として開放されています。
小屋の外にもベンチとテーブルがあり、また炊事用の水場(飲用不可)とトイレもあります。

八海山からの急登で疲れたのと、小屋から山頂までコースタイム的にまだ2時間くらいあると知って絶望したので、ここで10分くらい休憩しました。
(情報サイトを見間違えていて、小屋まで来たらあと少しだと思っていた)
西武秩父のベルクで買っておいた惣菜で昼飯。
おにぎりは鮭の量が少なくて残念・・・
かしわのおにぎりと唐揚げは美味しかったです。

小屋から神社は日向大谷コースで一番しんどい区間なので、心して登りましょう。
まずは小屋の裏の道を登っていきます。

ほぼ垂直なんじゃね?って斜面をジグザグに登る。
ここは道が悪いというより、とにかく傾斜がキツいです。


20分くらい歩くと尾根に到達。


さあ、ここからが正念場。
鎖場が3連続します。
正直、高度感はそこまで感じません。ただ岩がとにかく湿ってツルツル滑るので、全体的にかなり怖かったです。ここは下るのも大変だった・・・

鎖場を突破すると、急に整備された階段が出現。

巨石を横目にまたヒイヒイ急登を登り・・・

12時15分、両神神社に到着しました。
もう1歩も動きたくない・・・
神社〜山頂

両神神社で嬉しかったことが1つ。
狛犬がオオカミです。
高校生の頃に南方熊楠が主役の小説を読んだことがあり、物語のテーマが狼伝承だったんですよね。
マイナーな作品ですが結構面白くて、オオカミを大神として祀っている土地もある・・・という描写が印象に残っていました。
その本で言及されていたのが秩父かまでは覚えていませんが、15年越しで実際に狼信仰の様子を見ることができ感慨深かったです。

後から知りましたが、三峯神社の狛犬も狼なんですね。
下山後は大滝のゲストハウスに泊まるので、次の日三峯神社を観光してから帰宅しようと思っていたのですが、別の予定が入り断念。
三峯神社は別の機会にリベンジしたいと思います。

ここから山頂まで意外と遠い・・・
両神山は山頂が狭く、神社の境内にはテーブルがあるので、ここで休憩しても良いかと思います。

両神神社の横にもう1つ社があり、こちらは両神御嶽神社という別の神社です。
こちらも狛犬は狼。
狼でも口は阿吽なんですね。

境内を出てしばらくは久方ぶりの平坦な道。
涙が出るほど歩きやすい。

少しシーズンには早いものの紅葉も楽しめます。

20分ほど歩くとまた岩場、鎖場が現れ

山頂直下の鎖場を突破し

12時50分、ついに両神山登頂しました!
ジャスト4時間なので、コースタイムよりちょい遅いといったところ。
利尻富士に登るまでは2週間に1回くらい登山してたのが、その後は9月の連休にニセコアンヌプリに登っただけなので体力の衰えを感じます。
また、技術的にも岩場や鎖場の楽な突破法を学べたら体力の温存にも繋がり、もう少しタイムを縮められたかも。

先述の通り山頂は狭く、食事は両神神社や山頂直下の鎖場手前のテーブルで済ませた方が良いと思います。
また、木々の関係で中央の岩に登らないと周囲の山々は見渡せません。譲り合いの精神で。
奥多摩、山梨の山を一望。
来年の目標は、地図を読めるようになり、あの山はどれだ、とか見て分かるようにしたいです。
他の登山客に教えてもらったお陰で逃さず済みましたが、写真中央の突き出た三角は富士山!!
結局、山頂には20分ほど滞在しました。
道中の眺望がほぼ皆無だったので、ここで一気に登山の魅力を回収した感じですね。
下山

下山時は不安定な足元とツルツル滑る岩、苔むした鎖場に足のみならず精神を破壊されてしまったので、写真はほとんど撮っていません。
ちなみに下山を始めた時は15時台のバスにワンチャン間に合うのではと思っていましたが、あまりに下り辛いので早々に諦めました。

下りの鎖場は本当に怖かった。
自分の気持ち悪いハァハァ声を聞きながら、慎重に慎重に下ります。
掴んだり足をかけたりできる箇所は多いのだけど、そもそも岩がヌルヌルしてるので滑る滑る。

山頂を離れてしまうと眺望は望めないので、緑と岩を楽しむ。
鎖場、岩場でなくても滑りやすいので、あまりスピードが上がりません。前日も雨降ってますし。
まぁこの3連休で中日のこの日だけ快晴だったので、富士山が見えただけ良しとするか・・・

おにぎりと唐揚げのカロリーはとうに消費してしまったので、15分ほど清滝小屋で栄養補給。
同じくベルクで買ったポテトを食べました。

八海山までの区画も傾斜が急な上に滑りやすいので、足も痛いし精神も擦り減ります。
私以外にも転んでいる人を何人も見ました。
転ぶの怖くてなかなかペースが上がらないので、バスに間に合うかやや焦ります。

八海山から沢に降りると、滑る岩がぐんと減るのでかなり歩きやすくなります。

16時4分、会所に到着。
バスに間に合うのは確定したので少し休憩。

冒頭に書いたように登山口→会所はアップダウンのダウンが結構多いので、会所から戻る時はすなわちアップが待っています。
まあ登り返しまではいかない程度の傾斜なので八海山〜両神神社の下りより楽ではありますが、道は細いし最後まで緊張感の続く登山でした。

16時40分、無事に両神山脱出。登山開始が8時45分だったので、休憩込みで8時間の登山でした。
登りも下りもほぼ同じ時間でしたね。
ただ傾斜がキツいだけなら利尻富士の8号目以下のように(足を破壊しつつも)テキパキ下れますが、両神山はとにかくスピードが出なかった・・・
それでも荒島岳に比べたらだいぶ歩きやすかったですけどね。
バスの時間まで30分以上あるので、両神山荘でコーラを飲みます。旨すぎる・・・

夕飯の支度中でお忙しいだろうに、民宿のお母さんにイモを頂きました。嬉しい!

20分くらい休ませていただいてバス停に向かいます。
両神山荘は食事も美味しいと聞くので、次は前泊するのもありかもしれません。

17時15分の小鹿野町営バスで日向大谷を脱出。
三峰口まで1時間の長旅です。両神山は山頂でも電波が入らなかったので、しばしネットタイム。
帰りのバスは三峰口まで直で行けますが、薬師の湯で時間調整があります。
秩父駅に帰るなら薬師の湯で西武秩父行きのバスに乗り換えられるので、三峰口まで乗り通したのは結局私だけでした。
待ち時間に運転手さんが地元の話を色々と聞かせてくれて楽しかったです。

三峰口着後、この日に泊まるゲストハウス錦の宿主に迎えに来ていただき、22時頃まで飲み会を楽しんだのであった・・・
総評
繰り返しになりますが、海抜0mから臨んだ利尻富士よりもずっとキツかったです。
両神山には登り返しがありますが距離はそんななので、獲得標高云々ではなく、鎖場や岩場で大量を削られること、滑りやすい箇所が多いので精神的に疲れることが理由。
また利尻富士のような絶景ブーストが無いので、それもあって疲労感を終始抱えた登山となりました。
ただし、そんな山だからこそ下山した時の達成感は強かったし、山頂からの景色も良かったです。
私が参考にしたサイトを鵜呑みにして、「楽な山」と誤解した状態で臨んでしまったのが反省点。
秩父には雲取山もあるのですぐに再訪するかは微妙ですが、両神山にはまた登りたいですね。