旅も折り返しということで、旅行記も3週間ほどお休みした。本日より連載再開である。
利尻富士はとにかくガスりやすく、夏は日の出も早いので、3時半くらいに宿を出発するのが良しとされている。
しかし、アラームをかける前に寝てしまい、たまたま目覚めたのが4時20分。慌てて身支度を済ませ、4時40分にうみねこゲストハウスを出発したのであった。
さて、利尻富士は名実ともに利尻島のシンボルであり、全国から利尻富士を目指して登山家たちがやって来る。
よって大半の宿では登山口までの送迎サービスを行っているのだが、幸か不幸か、私が泊まっているのは「うみねこゲストハウス」。
彼の宿は、海抜0mで海面タッチしてから山頂まで歩かせ、さらに海面タッチをしてクリアとなる「0 to 0 利尻山」なる狂気のアクティビティを推奨している。
※うみねこは登山口までの送迎をしていない。
往復90分くらいは所要時間が長くなるので、利尻富士に登るだけなら全くもって非合理的な選択だ。相澤先生のクラスだったら除籍処分になっている。
しかし、筆者はうみねこファミリーのメンバーにつき、海抜0mから愚直に山頂を目指すのだ・・・
まだ目覚めていない鴛泊の集落を抜け、登山口である北麓野営場までの長い長い坂を歩く。
私は1年前も、うみねこアクティビティ上弦の参(チャリで利尻を一周&4つの激坂を登らせる)でこの坂を登っていて、歩きながらその長さを思い出して早くもイライラしてきた。
北麓野営場でトイレを済ませ、5時40分に登山開始。
普通の登山なら少なくとも遅くはない時間だが、こと利尻富士については明確に遅いので、これから登る者は心して早めに就寝するように。
5合目までは面白さ皆無の樹林帯が続く。
例年より暑い利尻ではあるが早朝は流石に涼しく、大量を温存しながら歩くことができた。
5合目からそれなり傾斜がキツくなってくるが、これくらいなら丹沢のバカ尾根で地獄を見た筆者の敵ではない。
何より、素晴らしい景色が360度広がっているので、歩いていて全く飽きないのである。
塔ノ岳と丹沢山の景色が30なら、利尻富士は5合目から6合目までだけで100と言っても過言ではない。
(塔ノ岳も丹沢も良い山ではあるが・・・)
3号目から5合目まではコースタイム通りだったのに、5から6はコースタイムの2/3で歩くことができた。
ちなみに6合目は第一見晴台とも呼ばれていて、条件が揃えばどうも6合目にしてサハリンが見えるらしい。
6合目から7号目までも体感、一瞬だった。
実際にコースタイムの半分くらいで登っているので、気のせいではなく本当にペースが早いらしい。
それでいて全く疲れる気配がない。
ちょっとずつ疲労は溜まっているに違いないのだが、部活の夏合宿を終えたあとのような爽快感のある疲労感。
7合目から胸突き八丁と呼ばれる急登が続くものの、バカ尾根のようにダラダラ長くはないので気持ちは楽だ。
結局30分弱で胸突き八丁は突破し、第二見晴台に到達。
この時点でまだ8時である。
見晴台なだけあり、ここで休憩している人も多かった。
少しガスってきたのが気になるが・・・
この頃になると「ガスる前に登頂しなくては」の考えに支配されるようになり、私はあまり休憩せずとにかく登り続けることにした。
それでもさほど疲労感を感じないのだから、何回も書くが景色が良いというのは偉大である。
これまた20分くらいで8号目に登頂。
長官山の山頂でもあり、この写真を撮った時はタイミング悪くガスっていたが、ここから眺める利尻富士は非常にインパクトがある。
ここで目の前に国際カップルが歩いていたのだが、スゴイネー、ヤバイネーと言いながらイチャイチャと歩いていたので邪魔で仕方なかった。
女の方はプールに行く時にみたいなカバンにタンクトップで登ってるし、山を舐めているのか・・・
イライラとカップルを追い抜かすと、ドン!としか形容できないほど見事な利尻富士が出現した!!
素晴らしい、素晴らしいぞ利尻登山!
かと思えば即座にガスる。上げて落として落として上げて、一喜一憂の変化が激しい。
人生山あり谷が面白い、恋はスリルがあった方が楽しい、だの言うが、結局安定に勝るものはないのである。
紆余曲折を経ての枕詞が生きるのは報われた時だけであり、最初から最後まで危なげなく進むに越したことない。
そんな私と利尻富士の相性は悪いのかもしれない・・・とぼんやり思いながら足を進めるが、紙面の関係で今回の旅行記は前篇と後篇に分けることとしたい。