ローカルチェーンとは良いものだ。
僕は旅に出ると、必ず一回はチェーン店に入るようにしている。旅先の食事の貴重な一枠をチェーン店に使うのは些か勿体ない気もするが、チェーンにはチェーンの良さがある。
まず、ケンタッキーフライドチキンやマクドナルドといった、日本にもある世界的なチェーン。
これらの店では、その国やチェーンならではのご当地メニューを試してみるのが樂しい。
硬派な日本男児の僕は断トツ、パンよりご飯派なので、インドネシアや中国のケンタにライスメニューが置いてあったのは嬉しかった。ジャンキーなチキンは、米にも良く合う。
また、あれは8年前の香港旅行だったか、マックにスープマカロニのセットがあったので食べてみた。
これは正直ハズレだったが、それはそれでローカル感を味わえてエモいのである。
そしてローカルチェーン。
ワールドワイドには展開しておらず、ある国や地域など局地的に展開しているチェーン店のことであるが、これがなかなかどうして一人旅の心強い味方なのである。
まず何より気軽に入れる。いわゆるレストランというクラスになると一人旅には少し敷居が高いので、個人的には食堂や屋台、ローカルチェーンの方が好きだ。
チェーンなら、仮に一店舗に振られたとしても、すぐ近くに別の支店があったりするのも塩梅が良い。
次に、手頃な価格で豊富なメニューが楽しめる。
専門店を見つからず喰いそびれたご当地グルメも、ローカルチェーンには置いてあることが多い。
基本的に庶民を相手にしているから値段も安めで、あれもこれも食べてもお財布に優しいのだ。
そして最後に、そこそこ旨い。高級店に比べると分が悪いし、むしろそれで負ける高級店は淘汰されて然るべきだと思うが、一定水準以上の旨さは保証されている。
内装やメニューの写真だけ凝ったプロパガンダ的レストランや、客を置いてけぼりにした創意工夫メニューを量産するマスターベーション系マスターが営む店のメシより、ローカルチェーンの方がずっと旨いことは間違いない。
僕はこれまで岡山の成田家、とりのごん助(千葉)、ニュージーランドのBurger Fuelなど、行く先々でローカルチェーンを楽しんできた。たしかブログの記事にもしたと思う。
今回は、香港滞在中の朝メシに抜擢したローカルチェーン、大家樂を紹介したい。
なお今回訪問したのは、尖沙咀のネイザン・ロード、重慶大厦一帯の店舗である。
Information
訪問日
2023年6月
住所
重慶站二樓, Chungking Mansion, 36-44號 Nathan Rd, Tsim Sha Tsui
営業時間
7時〜22時
定休日
なし
メモ
Cafe de Coralという英語名あり。
アクセス
MRT 尖沙咀駅か尖東駅から徒歩で。
重慶大厦の隣にあると滞在中は思っていたが、実は店舗自体も重慶大厦にあるらしい。
こうして見ると重慶大厦のデカさが良く分かる。大家樂があるフロアには、写真の左の方にあるエスカレーターから上がれる。重慶大厦のメインの入口ではない。
重慶大厦と言っても、九龍城の再来とも言われるカオスなエリアとは隔てられているので、こういう場所に免疫のない旅行者でも心配はないだろう。
メニュー
メニューは異常に豊富。朝メシだけでもパン食、お粥、スープマカロニとよりどりみどり。
ニドキングが技のデパートなら、大家樂は香港料理のデパートと言えるだろう。
さらに、大家樂では朝昼夜とメニューが変わる、ポケモン金銀システムを採用している。
ランチメニューの有無以外に昼と夜でメニューがガラッと変わるのも珍しいだろう。
着丼までの流れだが、まず写真中央の端末の後ろにあるレジで注文と支払いを済ませ
カウンターで食事を受け取る。
箸など追加の食器や、塩などの調味料はカウンターの引き出しに格納されている。
実食
今回は餐肉(ランチョンミート)2枚乗せの焼きソバとミルクティーのセットで34HKD。
香港では多くの場合、コールドドリンクは別料金。ここでもアイスミルクティーにすると+3HKDで計37HKDになった。
イギリスの置き土産だろう、ミルクティーはさすがに旨い。甘みはインドのチャイより控えめで、しっかりと紅茶本来の香りを楽しむことができる。
メインの焼きソバは、実物と対面してみると想定外のボリュームに驚く。ランチョンミートの圧が強い。
水はセルフでコールド/ホットがある。
麺はやや柔めのドライ系。パサパサとまではいかないけど、実家の母が作ってくれた焼きソバに比べるとチープであることは否めない。
だがローカル感があってそれもまた良し!ヒョヒョッ!
ランチョンミートはまぁスパムが有名だが、こちらもホンモノ肉ではないがゆえのチープさがむしろ旨い。
個人的にランチョンミートはあまり米には合わないと思っているので、焼ソバと一緒に食べられるのは良かった。
十分なボリューム、強めの塩気があり、日本人の朝メシには少し重たいかもしれないが、香港人はこういったジャンキーなメシを朝からワシャワシャ喰っているのだろう。
冒頭に書きそびれたが、僕がローカルチェーンを好む一番の理由は、地元の人の暮らしを、人生を観察し、旅している土地への没入感を高められるからである。
チェーン店は廉価で数が多いがゆえに、我々の人生のあらゆるシーンに存在している。
今は疎遠となった高校の友人らと行った部活後のマック、水泳教室の練習前に母が買ってきてくれたカーネルクリスピー、大学の仲間と試験勉強をした武蔵境のサイゼ・・・
社会人になってからは残業後の夕飯に、または夜行バスで目的地に着いた後の時間潰しに、やはりチェーン店のお世話になる機会は多い。
語尾が◯◯ですわ系お嬢様でもない限り、これまでチェーン店に行ったことのない人はいないだろう。
チェーン店には庶民が集う。
デートを楽しむカップル、時間を持て余したジジイ、今を生きてる系の学生集団、その土地にとっての日常は僕にとっての非日常である。
それを見るために僕は旅をする。
まとめ
香港のローカルチェーン、大家樂を紹介した。
チェーン店だからと侮るなかれ、料理は親しみやすい味で、メニュー数が多いので何回でも楽しめる。
飲茶やチャーシュー飯に飽きた時、箸休め的に訪れて香港の食のレパートリーと、香港人の日常を体験して欲しい。