【旅行記】2019卒業旅行41-2 リラの僧院の宿坊に泊まってみた

【Day41】

お腹が膨れたところでリラの僧院を散策する。

お目当てのミサまでしばらくあるので、それまでは自由行動となる。



昨日の記事に書いたように、リラの僧院は10世紀に創設された。しかし、1833年に大規模な火災があったので、今の僧院は再建されたものとなる。


アヤソフィアをモスクに改造した、あのオスマン帝国でさえ僧院での信仰や活動を封じ込めきれなかったことからも、ブルガリア国民にとってリラの僧院がいかに重要な存在かが分かるだろう。


残念ながら僧院内部は写真撮影禁止だが、外部のフレスコ画は見事の一言。


アルメニア見たフレスコ画では、天使の胴体が隠れて顔と翼だけの状態だった。
一方、写真のフレスコ画だと天使の胴体が描かれていて、個人的にこちらの方が親しみやすい。


僧院を取り囲むように宿坊が設けられている。

宿坊なので当然、聖職者の生活の場ということになる訳だが、こんな人里離れた場所で禁欲的な生活を送るなんて・・・俺なら辛い、耐えられない。


なお、リラの僧院はソフィアから約120km。
これは東京駅から富士山五合目までの距離とほぼ同じである。


これはフレリヨの塔
大震災や火災により14世紀に崩壊→再建されたものの、上に書いた19世紀の火災では、この塔だけが焼失をまぬがれたという。


また、敷地内には博物館がいくつかあり、僕もそのうちの一つを見学したが、残念ながら記憶はほぼない。

当時の僕の観光がいい加減だったというのもあるが、やはり写真撮影NGだと色々と難しい。


そういう意味では、僧院外部のフレスコ画はこのように壮観であるが、中のことはほぼ覚えてない。

薄暗さと写真撮影NGのせいもあるが、前日に見学したボヤナのフレスコ画が強烈だったのも大きい。


さて、夕方のミサは17時から。

時間が近くなると、このように聖職者が杭で木を叩きながら敷地を巡回し、ミサの開始を告げる。


ところで、本来ならミサは僧院の中でやるが、この日は宿坊の一階の小部屋(十字架などはあり、教会としての機能は有すると思われる)で行われた。

参加者が僕を入れて10人にも満たなかったのが響いたのか・・・少し残念な気がする。
オフシーズンだし、観光客が少ないのは分かるが、ここに住む修道士だけでも10人以上はいそうなものなのに。


ミサの感想だが、荘厳としか形容できない。

言葉は分からずとも、修道士の説教には不思議な説得力と迫力がある。僕はクリスチャンではないけど、何故か説教に耳を傾けていると「守られてる感」がする。


そして、信者の祈りと福音の詠唱。
自分の罪を悔いる人が宗教に救いを求める理由が分かるような、温かみを感じた。


教会という場を他の信者と共有し、祈りを捧げると心身ともに洗われる気がする。とても有意義な時間だった。


ミサのあと僧院は閉まるが、敷地や周囲の散策は自由。

これもまた宿泊者の特権である。


僧院の外部にはびっしりとフレスコ画が描かれている。人がいなくなり、じっくり撮影できる贅沢。


フレスコ画には定番の天使を描いたものや、リラの生活を表現したものから


地獄での責め苦を描いたショッキングなものも。

日本人としては、地獄=閻魔に舌を抜かれたり、釜茹でにされたりのイメージが強いので、異なる宗教観における地獄の様子を見るのはなかなか新鮮だ。


日も暮れてきたし、部屋に戻るとする。


2月のブルガリア、しかも山奥なので外は寒いが、幸いにも暖房の効きはそこそこ良い。


もうお店はやってないので、オプチャクペル・バスターミナル横のスーパーで買ったパンとサラミ、ポテチを夕食とした。


ここが宿坊であることを実感する小物。

山奥につきスマホの電波もほぼ入らず、Wi-Fiもないので夜は意外とやることがない。

読書するか、考え事をするか。
ここで内省して社会人生活に望んでいれば、配属ガチャはともかくプライベートは充実していたのかもしれない・・・とこの記事を書きながら後悔。


そうとなれば、あとやることは一つ。

真夜中の敷地散策だ!


宿坊はライトアップされていて、懐中電灯なしでも余裕で歩き回れる。


ガチで神聖な教会という意識があるからか、真夜中かつ山奥だが心霊的な怖さはない。

川音、風の音を聞きながら散歩する至福の時。


廻廊を歩いていると、ある部屋から小型犬が飛び出して来て死ぬほど驚いた!

慌てて犬をおさえる修道士のおっちゃん。
宿坊はペット可みたいです。


900年近い歴史を誇るリラの僧院。
宿坊はそれよりは新しいのだろうが、それでも数百年もの間、修道士や信者を見つめてきたのだろう。


クリスチャンではない僕がミサに参加して学問的に得たものは少ないのだけど、ただ僧院の歩みに思いを馳せ、真夜中の雰囲気・静けさを味わえただけでも宿坊に泊まった甲斐があった。


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