【旅行記】卒業旅行20 潜入!未承認国家ナゴルノ・カラバフ

ボーイッシュな花澤香菜は、最強である。


[Day20]

今日は朝から忙しなく観光。
宿主催のツアーでタテブ修道院とナゴルノ・カラバフを巡ります。


まずは大ボリュームの朝食を頂きましょう!
自家製のヨーグルトにチーズにジャムに・・・
玉子もマリエッタ自ら採取したものと、ホームメイドへのこだわりが半端ありません。

特に旨かったのが、ラパシュというナンに似たパンを皮に使う春巻き!
中にはホクホクのポテトがたっぷり入っており、朝からお腹いっぱいです。


一休みしたら観光に出発します。
ドライバーはマリエッタの旦那さんで、車は中古の三菱自動車です。

お父ちゃんは英語をほとんど話しませんが、まぁ何とかなるでしょう。


天気は快晴。観光日和です。


そしてこの絶景!

アルメニアを訪れる日本人はそう多くはないでしょうが、実はこんな大自然を堪能できる場所なのです。


タテブ修道院のビジターセンター的な施設に到着しました。

僕らは宿の車に乗っているだけなので楽々でしたが、タテブ修道院は公共交通機関でのアクセスがないことで有名。基本的にはタクシーをチャーターしたり、ヒッチハイクで行く人が多いみたいですね。


修道院までは車でもアクセスできますが、今回はロープウェイを利用します。
実はこのロープウェイ、全長5752mもの長さを誇り、ギネスにも登録されているのです。

※今調べたら最長ロープウェイはベスト3までをベトナムが占めているそうなのですが・・・記録が更新されたのか、はたまた「最長」または「ロープウェイ」どちらかの捉え方の違いなのか。


スピードはそう早くないので、ゆっくり景色を楽しむことができます。


絶景ですね〜


タテブ修道院に到着しました。
アルメニアで最も美しい修道院と言われています。


タテブ修道院は切り立った崖の上にあります。


厨二病の心をくすぐるプロダクツの数々。
僕も「教団」に入団して断罪ノ竹刀(ジャッジメント・ソード)で悪魔を討伐したいです。


ところで、修道院内部の写真はありません。
中に入れない日だったのか、時間がなくて入らなかったのか。このブログこんなんばっかですね。


正直、これからナゴルノ・カラバフに行く緊張感で終始上の空でした。

訪れる予定の場所ではある程度の安全が担保されているとは言え、ガチの紛争地帯なので・・・


復路もロープウェイで素晴らしい絶景を楽しみます。


素晴らしい快晴です。
絶好のドライブ日和。


道中の遺跡的な場所で停車して写真を撮らせてくれます。宿のプライベートツアーなので、この辺は融通が効いて良いですね。


昼飯を喰う時間もないので、マリエッタがお弁当で持たせてくれたラパシュの春巻きを道中頬張ります。


さて、ブログ的にも直に入域なので、ここらで軽くナゴルノ・カラバフについて説明しますね。

ナゴルノ・カラバフ、またの名をアルツァフは、法的にはアゼルバイジャンの領土です。
しかしながら、当該地域の住民の九割がアルメニア系であったため1991年に独立を宣言。当然ながらアルメニアはこれを支持します。

アゼルバイジャンのマジョリティがイスラム教であるのに対しアルメニアはキリスト教であることや、それぞれ周辺国との関係、後ろ盾となる国の思惑が複雑に絡み合い、今日でも争いは続いています。


さて、僕らを乗せた車は「国境」に到着。
検問所にてアルメニア側による入国審査が行われます。


もっとも、ここでは軽いパスポートチェックをして薄い紙っ切れをもらうだけです。

入国したその日のうちに首都ステパナケルトのイミグレに行き、即日発行のビザを受け取ることになります。


またエレバンにある大使館で先にビザをもらうこともできますが、それだとビザをパスポートに貼られてしまうとのこと。
ナゴルノ・カラバフのビザがパスポートにあるとアゼルバイジャンに入れない、と言うか問答無用で捕まりかねないのでこれは大変です。


国境言うても、それを越えたところでアルメニアから景色が一変する訳ではありません。

アゼルバイジャン国境に近付くと冗談抜きでヤバくなりますが、それ以外の場所は実に穏やかでした。


もっとも、この旅行の一年後に第二次再びナゴルノ・カラバフ戦争が勃発。ナゴルノ・カラバフの大部分は再びアゼルバイジャンの領土となりました。


ビビりの僕は多くのブログを読み、皆さん無事に帰還されたことを踏まえて訪問を決めましたが、もし自分がいる時に何か起きてたらと考えるとゾッとしますね。


最初に訪れたのはシューシャという町。
第一次の戦争で激戦区となった場所であり、今では廃墟が立ち並んでいます。


霧のせいか、かなり陰鬱な印象を受けます。


シューシャの象徴的な場所であるカザンチェツォツ大聖堂にやって来ました。


内部は見学可能です。


イスラム教の国であるアゼルバイジャンから独立を宣言した経緯を考えると、よりこの大聖堂が神々しく見えてきます。


なお、2020年の戦争により、このシューシャも再びアゼルバイジャン領となりました。


うーん、人々の安全や信仰が守られることを祈って止みませんが・・・


普通の民家もありますが、とにかく人気がありません。
こんなに静けさを感じたのは初めてかも。


さて、首都のステパナケルトを観光する前に、まずは移民局で入国手続きをしなければなりません。

パスポートと検問所でもらった紙を職人に渡し、20分くらい隣の部屋で待ちます。
緊迫感は一切なく、むしろフレンドリーでした。


発行されたビザです。
僕らは日帰りですが、一ヶ月弱は滞在できるのであちこち行ってみるのもいいですね。


ところで、ナゴルノ・カラバフではアルメニア・ドラムがそのまま使えます。
ざっくりレートが×0.23で3000ドラムなので・・・約700円ですね。ビザとしては相当安いです。


正式に滞在許可を頂き、一安心です。

ホッとしたところで、ナゴルノ・カラバフで最も有名な場所であろう「我らの山」に向かいます。
と言うか移民局の直線上にあります。


ポプテピピックを彷彿とさせるこちらが我らの山です。

旅行者の誰もが訪れる観光スポットであり、またナゴルノ・カラバフ人の精神的支柱でもあります。


モチーフは「この丘からナゴルノ・カラバフの大地を見つめて平和を願う老夫婦」とのこと。

僕もこの場所に思いを馳せてみます。



観光的にはこのオブジェしかない場所ですので、15分ほど滞在して少しだけ街歩きすることにしました。



ステパナケルトに関しては普通に賑わっている町と言ったところ。アルメニアのチェーン店も展開しています。


旧ソ連ではこうやって洗濯物を干しているのを見るのが多い気がします。


商店の物資も普通に豊富。
日常生活を送る分には問題なさそうですね。

とは言え、道理的倫理的にここがアルメニア人の地でも、法的にはあくまでアゼルバイジャンの領土。
こういう未承認国家の人達ってパスポートはどうしてるのだろうとか、色々考えてしまいます。


土産屋のお姉さんと記念撮影。


ナゴルノ・カラバフにはゴリスやエレバンからマルシュルートカで簡単にアクセスできます。


今回は就職を控えていたため安心安全な宿の日帰りツアーにしましたが、次はゲストハウスなどに泊まって散策したいものです。
・・・今となっては叶わぬ夢ですね。
と言うか今のパスポートがあるうちは、アゼルバイジャンに行くことも躊躇います。


短い間でしたが色々と考えられて有意義な体験となりました。ぼちぼち宿に戻りましょう。


僕らが訪れた場所は治安が安定しているとは言え、無事に検問所を越えてアルメニアに戻ってくるとホッとしたのも事実です。

一方でさっきまでいた場所から言語や文化が一変する訳ではありません。民族とは何か、国家とは何かを考えてしまいます。


最後に見晴らしの良い場所で一休みし、無事に宿に帰還。お父ちゃん、ありがとうございました!


今日は夕飯はつけていないので、適当に夕飯を調達しに行きましょう。

それにしてもすごい霧!某後味の悪い映画を思い出します。


宿の近くにあるスーパーのケバブが旨い、とブログに書いてあったので、僕もそこで買いましょうか。


20分くらい待つみたいです。
昼飯を食べてないので待ちきれないよ・・・


肉を焼く真似をさせてくれました。


宿に戻って夕食タイム。

このケバブ・・・めちゃくちゃ旨い!!
肉はジューシー、ポテトはホクホクです。
塩気が強いのでビールがぐんぐん無くなります。


量も凄まじいし・・・
僕もこうやってマイナースポットの有益な情報をお届けできるようになりたいです。



修道院に未承認国家と充実した一日でした。
サン・サンは明日にはエレバンに戻るみたいですが、はてはて。