【旅行記】2018南部アフリカ④ 動物を見るならケニアがいいわよ

「動物を見るならケニアがいいわよ」

アフリカのどこに行こうか決める時、母が再三言った言葉だった。

僕は小学生の頃からアフリカのサバンナでサファリがしたくてしたくて堪らなかった。動物好きの子どもだったのだ。

そして、僕の両親は新婚旅行でケニアに行っている。当然ながらお目当てはサファリ。
ライオンやヌーの大群など数々の写真を見せてもらい心躍らせた。

つまりは「動物を見るならケニアがいいわよ」は単なるステレオタイプの意見ではなく、母の体験に基づく確固たるアドバイスなのである。

しかし。
あれから時は経ち。動物好きだったベアー少年は海外旅行に目覚めた。
動物も依然好きだが、それ以上に珍しい国への渡航を渇望していた。珍しい国へ行ったことを友人知人に自慢したくて堪らなくなった。

それは強者(つはもの)なら当然のこと。
古今東西、少年漫画には必ずコレクター癖があり、倒した戦士の首や武器を主人公に見せつけて怒りを買う敵キャラが必ず登場する。

「動物を見るならケニアがいいのに」
母は憐れむような顔で僕を見るが、僕はヴィクトリアの滝やケープタウンにも興味があるカラー、ボツワナでもサファリができるカラーと自分の意志を貫き、南部アフリカ周遊ツアーへの参加を決めた・・・


[Day3]

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大満足で午前中のリバーサファリを終えた後は、国立公園内にあるチョベ・ゲーム・ロッジで昼食を頂きます。


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早速このブログでお馴染みの肉とポテト。
好きな物を好きなだけ食べられるブッフェは最高です。


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動物=ケニアの方程式を崩されて心なしかしょんぼりしている母を尻目に優雅なランチです。


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バブーンではないですが、客がメシを食う横で猿がメシを食っています。


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ホテルの敷地内はちょっとしたトレイルのようになっているのですが、当たり前のように猿がいます。

余談ですがこのホテルはチョベ川のほとりにあるのでイボイノシシや猿などは標準装備。

距離があり過ぎて撮影はできなかったものの、ホテルの敷地から川を挟んで象が見えるほどのネイチャー感なのです。



さて、1時間ほどの休憩を挟んでからジープでゲートまで移動。

そう、午後のプログラムはド定番のジープサファリです。
このへん、ゲートの写真を撮っておけばもっと盛り上がったのでしょうが仕方ない。

メンバーはホラー映画なら速攻で退場しそうな顔の黒人ガイド、西洋人カップル、欧米ガールズ、僕ら家族という構成です。


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スタートから5分ほどでインパラ的なサムシングが出現。

なぜエクスクラメーションマークがないかというと、午前中のサファリで飽きるほどこの手の動物を見て来たからです。

それに、やはりサファリのお目当てといったらビッグ5、ライオン・サイ・ゾウ・ヒョウ・バッファローでしょう。

さらに言えば、男の子的にはやはり肉食動物と遭遇したいもの。草食動物にいちいち興奮している暇はありません。

「動物を見るならケニアがいいわよ」
そんな母からの視線を感じつつ動物を探します。


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いかにもなアフリカの大地に大興奮!
といきたいところですが、僕のテンションは一向に上がりません。

なぜならサファリが始まって20分も経つのに、先のインパラ的なサムシングの他はマングースにしか遭遇してないからです。

おかしいなー、おかしいなー、変だなー、旅ブログを読み漁った限りチョベ国立公園の打率はかなり良いのにおかしいなー。

「動物を見るならケニアがいいわよ」
母の覇気が徐々に強くなり気圧されますが、僕には午前中のリバーサファリという確固たる実績があります。

散々野生動物を見たじゃないか。まだ時間はある。
あと少しジープを走らせたら、きっと大型動物に出会えるんだから!



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やせいの キリンリキが とびだしてきた!

キリン キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

ようやく見応えある動物が現れました。
改めて実物を見ると、この不安定なフォルムでよくここまで生き抜いてきたと感心してしまいますね。

なお、サファリの代表格たるビッグ5は、実はアジア等にも生息しています。

その点、キリンはアフリカにしか生息していないので、真の意味でアフリカらしい動物と言えるかもしれませんね。


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そして象!やはり象です!
欧米ガールズもこれには大興奮。

まぁ迫力ありますからね。象の大群。
午前中に既に象の群れを見ていますが、飽きる気配がまるでありません。


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雨季はあれどアフリカの大地というとどうしても乾いたサバンナを連想しますが、チョベはどちらかというと湿地帯的なイメージが多いですね。

まさにアフリカのダイナミズムを感じる光景ですが、懸念点を1つ挙げるとしたらガイドがポンコツということでしょう。

欧米ガールズを口説くのに夢中でいつまでも車を動かしませんし、モタモタしているうちに他のジープに先を越されて立ち往生。
そして何より、さっきから全然動物がいないのに能動的に探し回ろうと全くしない。

おかしいなー、おかしいなー。サファリのガイドは無線で連携を取って動物の出現情報を共有し合うってブログに書いてあったのに・・・

「動物を見るならケニアがいいわよ」


そしてもう1つ懸念点を挙げるとしたら、そろそろ象に飽きてきたことでしょうか。

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インパラ的なサムシング、の群れ。

サファリは運ゲー。必ずしも見たい動物が見れるとは限らない。
そのことについては重々承知しています。

でも、物事には限度があるのですよ。

このジープサファリの構成要素は60%の象と30%のサバンナ、残りの10%をキリンとサムシングで分け合っている状況です。

「動物を見るならケニアがいいわよ」

ライオンを、サイを見せろとは言わない。
あれはラッキーやガルーラなみのレア度ですからね。
旅ブログでは割とライオンの遭遇率が高そうですが目をつぶりましょう。

せめてハイエナとかリカオンとかヌーとか、カイロスくらいのレア度の動物は見たい。

なのにガイドは欧米ガールズに夢中で動物を探そうとしない。

イライラする僕。
それを宥める父。
動物を見るなら・・・と冷たい視線を向ける母。

と、誰もが諦めかけたその時!


ガイド「おし、見つけたぞ!!」



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ですよねー!分かってましたよ!
いやー、象スゴイナー!オッキイナー!

欧米ガールズ「信じられない!何でこんな所に象がいるの!?」


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               鬼滅の刃 18巻


教えてやる!この場所が!世界で一番!象の生息密度が高いってことなんだよ!

あんたらがいちいち象に興奮するからガイドが先に進まないんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ


「動物を見るならケニアがいいわよ」

は、いけないいけない。
そもそも僕はアフリカのでっかい大地に惹かれて日本からはるばるやって来たんでした。

それなのに、こんなことで気持ちを乱してはいけない。
アフリカの大地にのようにどっしりと、象のようにおおらかに。

よく見ると、もう飽きるほど見てますが、敢えて改めてよく見ると、象の目は本当に穏やかですね〜
就活留年で荒廃した心が癒やされるようです。

やっとこさでジープも動き出しましたし、ラストチャンスに賭けて最後に肉食動物を探しましょう!



欧米ガールズ「ストップ!象がいるわ!」

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キッキィィィィィィィィィィィィィ
バンバンバン!(机を叩く音)


怒りを込めた視線をガイドに向ける僕。
その視線に気付いたガイドは僕にウインクをし・・・

ガイド「象の鼻は、月まで届くんだぜ☆」


見事なサファリだった。僕は死力を尽くした。
僕は負けたのだ。

母の言う通り、動物を見るならケニアにすれば良かったのだ。
ピンキリとは言え、サファリを貴重な収入源としているケニアのガイドのレベルはもっと高かったことだろう。
動物を見つけるためのノウハウも確立されているだろう。

どう考えてもサファリのゲートまではあと500mもない。
僕は負けた。己のミーハーさ、顕示欲のせいで。


ガイド「臭うな」

突然ジープが停まりました。
そしてあたりに漂う強烈な腐敗臭。

実は割とサファリの序盤の方でキリンの死骸を見たんですよね。グロいので写真は撮りませんでしたが。

その死骸と同質の臭いが漂っています。


僕が今いる道の両側は、見事なまでのブッシュ(茂み)。そして、この腐敗臭が指し示すことは、、、



やせいの カエンジシが とびだしてきた!!!

うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!!
ライオンです!ビッグ5の一角!百獣の王ライオンです!!

距離に加えてブッシュが邪魔して写真を撮れず、この興奮をブログで伝えられないのがつくづく残念ですが、最後の最後にライオンに遭遇しました!

しかも左側はオスライオン、右側はメスライオンと赤ちゃんライオンです!

写真は撮れませんが、中途半端な写真を狙い続けるくらいなら、いっそのこと写真は諦めてその雄姿を目に焼き付けることにしましょう。

いやー、最後の最後にこんな大逆転、漫画でもそうありませんよ。
感無量です。

そして最高のタイミングでオスライオンが立ち上がりました!顔をこっちに向けて歩き始める!近付く!写真を撮るチャンス!
なぁにがサファリをするならケニアじゃ!
これからはボツワナの時代だぁぁぁぁぁぁ




ガイド「象で時間を使いすぎた。タイムアップだ」


唸りをあげるエンジン。
遠くなるライオン。

呆然とする僕を見る母の目は、確かにこう言っていた・・・

「動物を見るならケニアがいいわよ」


チョベの名誉のために言いますが、チョベは素晴らしい国立公園ですし、繰り返しになりますがサファリは水物です。

サファリで喰っているケニアやタンザニアのレベルが高いのは恐らく本当ですが、ケニアでだって運が悪ければ動物は見れません。

もっと言えば天候や時間帯などのコンディションによって動物との遭遇率は多分に変わるので、
僕の敗因はケニアだチョベだ云々ではなく、そもそも日帰りのサファリを選んでしまったことなのです。

1週間くらいかけて複数のサイトや国立公園を巡ってサファリ漬けすることで期待値を上げていくのが正しいサファリですからね。

もしチョベに数日滞在して例えば朝にジープサファリをしていればライオンにちゃんと遭遇できていた可能性は高いですし、有能なガイドにあたれば手を尽くしてくれたはずです。

まぁヴィクトリアの滝や南アフリカ観光も素晴らしく、これらを経験できずに死ねるかレベルの絶景だったので、こればかりはトレード・オフではあります。

ブログには散々書きましたが、リバーサファリと合わせると満足度はそれなりに高いです。
あれほど雄大な象の群れを見て黒い感情を抱くことになったのが残念でなりませんが。


ツアーのスタッフと合流して一路ジンバブ目指し国道を爆走します。

思い返すと、このサファリの収穫は象、象、象。
もうしばらくは象を見ても興奮しないだろうn





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象、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!