はじめに
バンダルスリブガワン⇔ミリ間の国際バスは、コロナ禍で廃止になったと聞きます。
何かの間違いかもと思いバス会社に連絡してみたところ、無常にもno longerとの返信が来たので間違いないでしょう。
諦められずに英語のバックパッカー情報サイトまで漁って国境越えの情報を調べたものの、書いてあったのは「ある男にWhatsAppで送迎を依頼する」という、不確定要素が高いかつ少々リスキーな方法のみ。
旅行の目的の一つが陸路での国境越え(イミグレ付き)だったので、ミリに抜けられない時点で詰みです。ブルネイ⇔コタキナバルはまだ国際バスが出ているものの、未訪問のサラワク州に行ってみたかったのです。
そこで今回は、バンダルスリブガワン(BSB)からバスと配車アプリで刻みながらミリを目指す、体育会な方法で国境を突破してきました。
旅行前から念入りな情報収集を行い、かつ現地では多くの方にサポートいただき、なんとか国境越えを果たした形です。
最初に書きますが、再現性がある方法とは言い難く、ミリまでLCCで飛んでしまったよほど良いです。
あまり人におすすめはしません。
なお、国境越えにあたっては下記ブログを参考にさせていただきました。
このブログがなかったら詰んでいたと思います。ありがとうございました。
事前準備
マレーシアでは紙の入国カードを廃止し、事前にMDACという電子アライバルカードを作成しておく必要があります。
内容に不備があった時にイミグレで作り直せるよう、事前にマレーシアで使えるSIMを入れておくことをおすすめします。
私は、ASEAN諸国で使えるTRAVeSIMというeSIMを入れておきました。
週末に国境越えする場合、道中のクアラ・ブライトという町の両替所は閉まるのが早いです。
私は土曜に移動しましたが、お昼には閉店していました。
ブルネイ側、マレーシア側ともにイミグレに両替屋はいないので、予め国境越えすることが分かっているのであればバンダルスリブガワン(BSB)で両替しておいた方が良いでしょう。
国境越え
①ローカルバスでセリア/Seriaに行く
まずはBSBを離れてセリア(Seria)という町に行きます。
バス乗り場はこのブログでもお馴染み、ブルネイホテル前の川沿いの停留所です。路線バスと同じですね。
写真奥の洒落た建物がブルネイホテルです。
普通の路線バスは車体に番号が書かれていますが、セリア行きのバスは番号はなく、白い車体にSeriaと書かれています。
参考にしたブログでは8時のバスに乗ったとあったので、私も早起きを試みたものの寝坊。
8時少し過ぎにバス停に着くともうバスはいなく、結果的に9時40分のバスに乗りました。
ブルネイのバスについては時刻表はあってないようなものですが、この9時40分という出発時間は他のバスのドライバーから聞いた時間とも一致します。
長距離路線につき、市内の路線バスよりは時間がきっちり決まっているのでしょう。
停留所の反対車線から伸びる路地(ブルネイホテルの横の道)には食堂やミニマートがあります。
トイレはブルネイホテルのが綺麗なので、お願いして使わせてもらいましょう。
車内はこんな感じ。見事なまでのミニバスです。
わずかな乗客と大量の荷物を乗せ、9時40分丁度にBSBを出発しました。
BSBからセリアまでは6ブルネイドルです。
※ブルネイドルはシンガポールドルと等価
ブルネイの地方都市を通るので、ローカルな光景が好きな人はきっと楽しめるでしょう。
BSBを出発して1時間くらい経ったところでトイレ休憩がありました。
リバークルーズの列に並んでいる人がたくさんいたので、ブルネイ人の間では知られた観光地なのかもしれません。
トイレ休憩の後は、また1時間くらいかけてセリアへ。
セリアは油田で有名な町で、石油系の施設が結構あって興味深かったです。
BSBを出てから約2時間で、セリアのバスターミナルに到着しました。
②クアラ・ブライト(Kuala Belait)行きのローカルバスに乗り換える
私は12時少し前のバスでクアラ・ブライトに移動しました。運賃は1ブルネイドルです。
きりの良い時間ではなかったので、この路線に関しては明確な時刻表がなく、運転手の裁量で運行しているものと推測します。
ただセリアに着いてから大体20分で出発というのは、参考にしたブログの記述と一致します。
また、Wikipediaによると12時〜13時では昼休憩で運休となるそうです。真偽は不明。
地元民を乗せながらドア全開で進みます。
ここでもブルネイの地方都市や、石油系企業の駐在員をターゲットにしているであろうゴルフ場などを眺められて面白かったですね。
ローカルバスの旅は最高です。
セリアから30分ほどでクアラ・ブライトに到着しました。
③国境行きのdartを捕まえる
続けてスンガイトゥジョー国境まで移動しますが、バスなんてないのでdartを捕まえて行きます。
しばらくは補給もできないので、ランチや買い出しなどはクアラ・ブライトで済ませておきましょう。
ところが、私は20分経ってもdartを捕まえることができず、最終的には昼飯を食べたレストランのスタッフに相談して国境まで送ってもらいました。
ここまで先人のブログを頼りにやって来ましたが、やはり刻んで国境越えは一筋縄ではいきませんね。
このエピソードそのものはまさに「地元の人との心温まる交流」です。
また、お子さんのお菓子代という名目でdartで移動した場合のお金+αを渡しているので、win-winだったとも思います。
ただ、あくまで地元の人のご好意で送ってもらった形なので、変にアテにされないようお店の名前は敢えてブログでは公表しません。
私と同じように国境まで送ってもらえることになった場合は丁重に御礼を言い、できれば20ドルくらいお渡しするようにしてください。
④ブルネイ側イミグレ
dartでもヒッチハイクでも、無事スンガイトゥジョーに着いたらいよいよ国境越えです。
クアラ・ブライトからは30分くらいかかりました。
ただこの国境、徒歩越境者については(当たり前だが)全く考慮されてないので、車と同じレーンに並んで出国を審査を受けます。
基本的に徒歩の場合は車を追い抜かして良いと言ってもらえるので、そこまで待ち時間は多くないでしょう。
歩いて渡るの!?とのお言葉と共に、出国審査は1分ほどで通過しました。
ブルネイ側のイミグレからマレーシア側の国境施設までは、このような道を30分ほど歩きます。
ここでも何人かの方から車に乗せてやると言われましたが、私は久々の陸路国境越えを楽しみたかったのでお断りしました。
⑤マレーシア側イミグレ
マレーシア側の入国審査の方が厳格なのか、国境はなかなかの混雑でした。
バッファ地帯を歩いた時間より、マレーシア側イミグレの列に並んでいる時間の方が長かったかも。
ただここでも車を追い抜かしていいと言ってもらえたので、少し申し訳ない気もしますが図々しくイミグレまで歩いちゃいましょう。
マレーシアの入国審査ですが、徒歩での国境越えだからといって特に警戒されることはありませんでした。
マレーシア入国にあたっては電子アライバルカードのMDACが必須。必ず事前に準備しておき、何かあった時に対応できるようSIMなりモバイルWi-Fiも欠かさず持っておきましょう。
私は入国日を前日で登録してしまうという大ポカをかましたものの、その場で再度登録して事なきを得ました。
⑥ミリ市街地に移動
さて、国境からミリ市街地までは20数キロあります。
当然バスなんてものはないので、考えられる選択肢は以下の4つになるかと思います。
①grabやmaximといった配車アプリを使う
②イミグレ職員にタクシーを呼んでもらう
③ヒッチハイクを試みる
④歩く
配車アプリは基本的に乗客Aを降ろした近くで乗客Bをさがすので、車前提の国境で配車を試みてもそうそう上手くいかないことは容易に想像できます。
実際に、私が参考にしたブログ主もドライバーとマッチするまで1時間くらいかかったみたいです。
②のタクシーは高額、③のヒッチハイクは不確定要素も高くそれなりにリスクもあるので、私は歩いて町に向かおうとしていました。
私と同じように徒歩を計画している場合、20数キロ歩くのは流石に過酷かと思いますので、国境から13kmのところにあるEmart Tudanという巨大な市場をマイルストーンにすることをおすすめします。
Emartまで行けば補給もできますし、何より配車も容易です。
私はバスターミナルまでの移動にgrabを使いましたが、10分くらいで来てくれました。
ちなみにヒッチハイク自体は容易です。ヒッチハイクというか、もはや向こうから声をかけてくれるので。
私も最初のうちはお断りしていましたが、最終的には20分くらい歩いたところで声をかけてくださったご家族の車に乗せていただきました。
マレーシア人もブルネイ人も優しい方が多いですね。多くの方のご好意に支えられた国境越えとなりました。
注意点やアドバイス
①出発はなるべく早く
後ろの時間が詰まっていると、焦って行動して何かとトラブルを招きやすいものです。
反対に時間に余裕があれば取れる選択肢の幅も広がります。
例えばクアラ・ブライトでのdart配車だって、時間があれば国境まで行ってくれる車が見つかったかもしれません。
私は9時40分にBSBを出て、15時にはEmartに着きましたが、それは地元の人に車に乗せてもらったお陰。
下手したら明るいうちにEmartに到着するのは無理だったと思いますし、知らない土地で路頭に迷わないよう少しでも早くBSBを出ることをおすすめします。
できれば前日のうちに聞き込みに行き、セリア行きバスの時間を把握しておくと良いですね。
②地元の人の車に乗せてもらう場合
自分からヒッチハイクをしていない私ですら5回は車に乗せてやると声をかけられたので、「ヒッチハイクしたいけど車が見つからない」ことにはならないんじゃないかと思います。
少額の御礼込みでも安く、早く移動でき、地元の人との交流もできれば良い思い出になることでしょう。
一方で知らない人の車に乗せてもらうので、当然ながらある程度のリスクを伴います。
それでも能動的、受動的ともにに人の車に乗せてもらう場合は、防衛本能全開で、己の勘を信じてドライバーを見極めるしかありません。
(乗せてもらっておいて何様だが)
個人的には、やはり小さい子ども連れの家族は安全である可能性が高いと思っています。
③クアラ・ブライトでのdart配車
是非ともdartの予約機能を活用しましょう。
普通の即時配車より0.5ドルくらい高くなりますが、現地で車が見つからないリスクを回避するのが大切です。
このブログを参考にクアラ・ブライトの到着時間を逆算してみてください。
クアラ・ブライトで活動しているドライバーはそう多くないと思いますが、前日のうちからマッチングを始めれば流石に誰かは捕まるでしょう。
仮にクアラ・ブライトまでのバスが遅れてしまっても、マッチした段階でWhatsAppを送っておけばその後もドライバーと連絡が取れるので、個人的に配車を依頼することも可能です。
④ミリに入ってからの両替屋情報
前述のEmart内に両替屋が2軒あります。
私は写真の両替屋を使いましたが、夕方までは営業しているのでクアラ・ブライトで両替できなくてもなんとかなります。
日本円は両替できなかったので、予め多めにブルネイ・ドルを用意しておくと良いでしょう。
ブルネイ・ドルからのレートは良好でした。
コメント
繰り返しになりますが、地元の方のご好意の下、なんとか上手くいった国境越えです。
クアラ・ブライトでdartを捕まえられたとしても、マレーシア側のイミグレからEmartまでは歩くか人の車に乗せてもらうしかありません。
よって軽々しくこのルートでの国境越えを勧めることはできませんが、それでもこのルートで旅をしたい方におかれましては、時間的にも金銭的にも余裕を持ち、念入りな計画を立てて臨むようにしてください。
そして地元の人に助けてもらったら、多少の謝礼金なりお菓子なりお渡ししましょう。