
旅は続いている。
フェリーのスケジュール的に昼メシの時間が遅くなるので、朝からセコマのヒレカツ巻きを食べる。
去年も最後の朝にこれを食べたような。

昼のフェリーで島抜けする訳だが、その前に朝の礼文行きフェリーで島抜けする旅人達をお見送りした。

このフロント横のソファで日中からダラダラするのが、退廃的でとても良い時間だった。
またここで寝そべれるのは、早くても来年のGWだろう。


出発までのわずかな時間を使って、鴛泊の町を歩く。

今回は利尻富士で満足してしまい、宿のすぐ裏なのにペシ岬には登らなかった。
やっぱり3泊じゃ足りないかもしれない。
長くいればいるだけ、結局ダラダラしてしまうかもしれないけど。

フェリーターミナル前のPortoでトマトパンとコーヒーをテイクアウトし、うみねこゲストハウスで食べる。

食べたらダラダラする。
この短い記事の中で既に3回もダラダラという言葉が出てきたが、本当に何もしていないのだ。

12時5分の稚内行きフェリーに乗るため、30分前くらいに重い腰を上げた。なんせフェリーターミナルまで5分なので、ギリギリまでダラダラできるのだ。
トールさん、カナコさん、ちゃんみき、常連さん達に挨拶して「うみねこゲストハウス」を出た。


お盆真っ只中なので、鴛泊フェリーターミナルはとても混み合っていた。
今日で旅行が終わりなら、脳破壊の日々に耐えられず「わー!」と叫んで海に飛び込んでいたことだろう。
幸いにも旅はあと2日続くので、ここは大人しく船に乗り込んだ。

乗船後、今度は自分がお見送りされるため甲板にダッシュする。居心地の良い場所を離れるのはいつだって寂しいけど、離島での別れは特にセンチメンタルになる。

ちゃんみきと常連さん2人にお見送りしてもらう。
残念ながら声は聞こえなかったけど、みんなの姿が見えなくなるまで手を振り続けていた。
ありがとう、うみねこゲストハウス。
ゲストハウス好きとしては前から泊まりたかった宿だけど、これほど魅了されるとは思わなかった。
まさか2年連続で泊まるとは思わなかった。
チェックインした時、視界に映ったスタッフ・常連さんがほぼみんな、去年も会った人だった時の感動。
これからも通い続けることでしょう。

そして利尻富士。
社会に出るとシンプルに自分の実力だけで達成できることはぐんと少なくなるけど、0 to 0で登頂できたのは紛れもなく、自分の体力と経験が短時間でアップデートされたお陰だ。
もちろん、ここまで登山の練習に付き合ってくれた会社同期、大学剣道部の仲間にも感謝している。
今年は利尻富士を諦めなくて良かった。
登山を好きになることができて良かった。
今の自分が置かれている状況はさておき、今後の人生の勝ち筋を考えるとしたら、会社である程度は評価されて経済的な自由を獲得すること、そして一緒に旅してくれる嫁と出会うことだろう。
旅行好きとて、うみねこのような宿に一緒に泊まってくれるか、利尻富士に一緒に登ってくれるかはまた別のお話であるが、そういう妄想が膨らむうちは、人間まだ頑張ればどうにかやれるのかもしれない。


稚内に移動後、潮見の回転寿司・花いちもんめで遅めのランチ。バスが結構先だったので、行きは贅沢にタクシーを使ってしまった。
稚内はクレカを使えないタクシーも多いので注意。


島にいる間はセコマ飯ばかり食べていたので、久しぶりの生魚を満喫した。

しかしなんと、花いちもんめに来るのはこれで4回目。
稚内に泊まる度にわざわざ足を運んでいる。

花いちもんめの対面、潮見五丁目のバス待合室も最早お馴染み。懐かしさすら覚えるレベル。
10分くらい待ち、稚内駅に戻った。

稚内駅に着いて早々に、島で不足していたエゾジカを補給。


去年は夜、駅の周辺で50頭くらいのエゾジカの群れに遭遇して腰を抜かしそうになったものだ。

移動の時間までもう少しあるので、駅のコインロッカーにバックパックを置いて散歩することにした。
目的地は稚内公園。
もう何回も行っていて全く新鮮味は無いが、鹿に会える。

稚内公園は丘の上。
今さらながら筋肉痛の身であることを思い出すが、下るほうがしんどいので上を目指す。
問題の先送りである。

↑稚内市役所

北海道では、とりあえず少し町を離れるか公園に行けば暇潰しになるのが良い。


稚内公園で大量のエゾジカに遭遇。
島は好きだが鹿がいないのがマイナスポイント。

ここから稚内の町を見ると、帰って来た感じがするなぁ

バンビを眺めながら、産まれたての子鹿のように足をプルプルさせながら、頑張って長い坂を下った。
もう何回も来た場所だけど、羅臼岳の1件があった後なので少々緊張する。

宗谷本線屈指の「秘境駅」、抜海駅が今年の3月に廃駅になったので、抜海地区には上下それぞれ4便ある乗り合いのデマンドタクシーで移動する。
事前予約制で、運賃は稚内駅からだと500円。
目的地の目の前まで行ってもらえる。

この度最後の宿は、抜海の民宿「ばっかす」に泊まる。
とほ宿の加盟宿で、今回が3年連続3回目の宿泊。
もう定宿と言っても良いだろう。

夕飯まで少し時間があったので、軽く散歩がてら夕焼けを見に行った。
たしかに島を出ると、利尻島=利尻富士と讃えられるのも納得だ。

宿のすぐ裏にある抜海神社。
ちょっとした遺跡のようになっているミステリースポットだ。
しかし、この神社でクマの親子の糞が見つかったみたいだし、もはや集落の中でも安心できる場所など無いのかもしれない。
夕焼けを見に行く時もエゾジカを見たし、抜海の野生化が進んでいる気がする。

ばっかすと言えば大ボリュームの夕飯が魅力的で、いやはや今回もすごい量の飯が出てきた。
夏は生ビールが飲めるのも嬉しい。
ゲスト同士で旅や島の話をしたり、宿主・幸(みゆき)さん♂の話を聞くのが楽しい。
新婚旅行でばっかすに泊まって、幸さんに説教された常連さんの話をしていたけど、旅宿ファンとしては「羨ましい」の一言である。

食後の飲み会も楽しい時間だった。
市街地からは離れているが稚内唯一のとほ宿なので、これから島に行く人、島から帰って来た人、宗谷岬を目指すライダーなど、アクティブな人が多かった。
観光に使えるのはあと1日、明後日には神奈川に戻る。