
4年越しの利尻富士登頂を果たしたものの、山頂、特に山名板の方は見事にガスっていた。
普通の登山であれば萎えるところ、この時点で10時で、また今日はうみねこゲストハウスに帰れさえすれば良いので、まだまだ時間がある。


なのでここは持久戦で、居座れる限り山頂に居座ってガスが晴れるのを待つことにした。
利尻富士山頂はスマホの電波も入るので、暇潰しはできる。

そうと決まれば、まだ早いけど昼メシだ。
今回の旅行で気に入ったベーコンおかかのホットシェフおにぎり。関東民は食べる機会が少ないだろうが、しょっぱいベーコンとおかかがご飯に素晴らしく合う。

安定の焼きうどん。
100円パスタシリーズで一番好きだ(もう100円ではないが)

完全に雲の中だった荒島岳の時とは違い、今回は絶妙に期待を持たせてくる。

スマホを弄りながら時間を潰していると、わずかながら雲の間から礼文を眺められるくらいにはガスが晴れてきた。
正直、せっかく利尻富士に登ったんだからサハリンを見たかったけど、こればかりは寝坊してしまった己を呪うしかない。山頂でバッタリ会った「うみねこゲストハウス」の客によると、本当に1時間くらい前までは最高の景色だったようだ。
私が寝坊したのがきっかり1時間だったので、つまりはそういうことである。

ただ、この日はこれでもガスが晴れているようだ。
うみねこゲストハウスのヘルパー「ちゃんみき」によると、ひどい時は山頂直下にあるローソク岩すら見えないそうである。そう言えば利尻富士登山3回目でようやくローソク岩が見えたってブログに書いてる人もいた。

↑ガスが少し晴れた隙に記念撮影
ここで、2つ前の記事(前篇)で書いた国際カップルも山頂にやって来た。超軽装だった彼女の方も登頂できたのだ。
利尻富士は1700メートル級と決して低い山ではなく、また山頂付近の道はコンディションが悪く、一般的な登山難易度はそれなりに高い。
一方、道はとにかく単純明快で道迷いのリスクが少なく、ザレ場にさえ気を付ければ難所も無いので、こと鴛泊コースについては初心者向けの山と言う人もいる。
確かにアルプスとなると体力だけでなく登山技術も必要になるのだろうが、利尻富士は脳死で登れると言って良い。
そんな訳で家族連れの登山客も結構いた。
去年もうみねこゲストハウスに泊まって利尻登山した人と夜話したのだが、去年は犬を連れている人もいたらしい。(犬には迷惑な話だと思うが・・・)
もっと晴れることを期待してその後も山頂に留まり続けたが、残念ながらこれ以上は晴れることがなかった。

礼文やサハリンが見えないことに目をつぶれば、霧の中で高山植物が見え隠れするのは「天空のお花畑」の趣で、それはそれで味わい深い。
花が好きな人は7月の連休にでも来れば楽しめるだろう。
礼文も利尻もベストシーズンは連休が無い6月だが。

これ以上、ここにいても意味が無いと判断し、重い腰を上げて下山することにした。
パッと諦められる方が楽に決まっているのだが、有りもしない可能性にしがみついて無為に時間だけ使ってしまうのが悪癖だ。このマインドを改めないと幸せは来ないと思う。
結局、山頂には1時間半以上もいた。


私は昔から下りが好きだと公言していたが、加齢と共に少しずつ下るのもしんどくなってきた。
荒島岳と丹沢では果てない下りで足を破壊されたものだ。
登りの時は疲れながらもアドレナリンのお陰でサクサク歩けた9号目も、下りとなると相当足にくる。
登りよりも滑りやすいので、精神的にも消耗する。


滑り落ちないように慎重に慎重に歩く。
足は痛いが、水はたくさんあり、また今から下っても全然余裕な時間なので、精神的なゆとりは大きい。

沓形コース(閉鎖中)との分岐を通過。


下り始めて30分くらい経つが、依然として雲の中を歩いている。こんなことなら登りの時に写真撮っておくんだった。

花に心を洗われて。
フリーレン、いつか君に見せてあげたい。

この辺でようやくガスが晴れてきた。
海が見えると俄然、テンションが上がる!

結局、9合目は登りとほぼ同じくらい、約50分で突破した。下りのコースタイムは登りよりも1時間短いので、全体に占める9合目の割合がいかに大きいかが分かる。


思わず歩みを止めてしまうほどの絶景。
写真で上手く伝えられないのが残念でならないが、独立峰の魅力を存分に味わえる至高の景色である。
利尻富士のために登山の訓練を積んできたけど、この景色を見た瞬間、明確に登山が趣味になった。


避難小屋の前後は、登り返しもあるから人によってはキツいかも。
個人的には登りばかりだと足が馬鹿になるので、少々の登りなら大歓迎である。


利尻富士は日本百名山の堂々No.1を守っている。
利尻富士に登頂成功したので、百名山にはこれで3座登ったことになる。荒島岳も丹沢山だ。
大菩薩嶺に登ったけど、途中で引き換えしたので登頂は叶わなかった。
11月にうみねこゲストハウスのオフ会登山で大菩薩嶺に行く予定なので、その時は天候に恵まれて欲しい。

9合目を抜けたあとは比較的スピーディーに、7号目付近まで下ることができた。
もちろん、ブログでは一瞬でも実際はそれなりに足を痛めながら歩いて来たけど・・・
小腹が空いてきたので、稚内のセコマで買っておいたナポリタンをここで喰う。
しかし、7号目、6号目で拝める景色にしては破格だなぁ
バカ尾根は利尻富士の爪の垢を煎じて飲みなさい。

最後は、第一見晴台で礼文をしっかり目に焼き付ける。
海が見える百名山でもそんなに多くはないのに、島が見えるのは恐らく利尻だけだろう。
利尻富士は利尻島そのものと言う人もいるくらいだし、とにかく離島×独立峰という特異性が堪らない。
最高の登山だった!

ここで終われば物語としては美しいのだろうが、残念ながらこれは現実の登山である。
6号目から下は景観皆無の樹林帯、写真を撮る気も失せるほど虚無な区間が続く。
また登りは早朝で涼しかったけど、下りは標高の低さとお日様が容赦なく襲いかかってくる。
うみねこで利尻富士のキツい瞬間を話し合った時、9合目をおさえて下りの樹林帯が一番キツいの声多数だった。
結局、第一見晴台を出てからは1枚も写真を撮らず降りきってしまった。まぁ、登山の下りなんてそんなものだろう。
登山口の近くには甘露泉水という有名な湧き水があるので、旅の記念に少し補給。

こうして下りはコースタイム通り、4時間半でクリアした。とにもかくにも五体満足でキャンプ場まで戻って来られて良かった良かった。
ちなみに、利尻富士山中のトイレが全て携帯トイレ前提のトイレブースなのに対し、このキャンプ場のトイレは水洗でなんとウォシュレットまであるのだ!
最北の離島のキャンプ場でこんな素晴らしいトイレに出会えるとは・・・

そしてキンキンに冷えたコーラが旨いこと!
これで最後まで頑張れる。


そう、私が挑戦しているのは0 to 0 利尻。
お迎えは来ないので、最後の力を振り絞って長い長い坂を下って行く。
もう疲れたとかそういう次元ではなくひたすらに虚無なので、誰も歩いていないのを良いことに音楽を流しながらコノヤロ!コノヤロ!とだらだら歩いた。

しかしまあ、鴛泊の町から利尻富士を見上げると改めてよく海抜0メートルから登りきったなぁ

夕食難民にならないよう、セコマで買い込みを済ませてから海抜0メートルポイントに行き・・・

17時ジャストにうみねこゲストハウスに帰還。
いやはや長い1日だった。
素晴らしい景色のバフがかかっていただけで、下山してみると疲れ切っている。
ただトータルでは「意外と余裕だった」が正直な感想だ。
練習してなかったらキツかったんだろうけど、31の肥満体型の男でも普通に登れたのだ。

一休みしてから、同世代のSさんと一緒に利尻富士温泉まで送迎してもらった。(疲れすぎていて温泉の写真撮ってない)

そしてカロリー爆弾の儀。
登山中の飯にしては些か(いささか)カロリー摂取量が低かったので、とにかく食べて回復しないと。

メロンを頂いたり

みんなで流れ星を見たり

「大人のミルピス」を頂いたり

0 to 0 利尻の表彰をしてもらったり
(写真右が宿主トールさん、左がヘルパーのちゃんみき)
こうして楽しい夜は更けていくのだった・・・