私はこのブログの存在をひた隠しにしている訳ではなく、大学の仲間や会社の同期、旅仲間くらいの間柄であれば私がブログをやっていることは知っている。
有り難いことに時おり、あるいは定期的に読んでくれているという人もいる。
ただし、韓国の銭湯の記事であったり、ウィーンの公共交通機関の記事であったり、これまた有り難いことに検索エンジンの上位に私の記事が出てくることもあるから、名前や顔写真、会社名などはもちろん一切公開していない。
剣道をやっていること、都内の某大学を卒業したこと、ユニクロの広告の綾瀬はるかに脳を破壊されること、などバックグラウンドや趣味性癖を書くこともあるが、よほど私と親しい人でない限り、それを読んだところで私とは分からないだろう。
唐突な自分語りになるが、大学4年生時にチャイニーズ・タイペイに留学していた。
留学から帰国後、最初に台湾に帰ったのは2019年の3月末。会社の社員寮に越す数日前だった。
その後、コロナ禍を経て台湾を再訪したのは2023年の夏休み。あの時は訳あって今の会社に残るか、他所に行くかの2択を迫られていた。実に非合理的であると自分で思いながらも残留を決定したのだが、そんな意思決定の数週間後にコロナ禍ぶりの台湾と相成った。
そして先日、イワンの馬鹿!イワンの馬鹿!と喚きながら脳を破壊される毎日に耐えかねて、2023年ぶりに台湾に行ってきたのである。
偶然か必然か、台湾に行く時はいつもセンチメンタル・ジャーニーになってしまうなぁ。
ともかく、弊ブログは一介の旅ブログではあるが、それ以上に私のブログという極私的な世界なのだ。ブログで何を書くのも私の勝手である。
書くべき旅行の記事は幾らでもあるものの、今日は台湾で過ごした日々の憧憬を胸に、たまにはエッセイのようなものを書いてみようと思う。
何が言いたいかというと、あるキャラクターを確立させるのは一長一短だなと思うのだ。
社会人になる私に父が言ったのは、ゴルフに誘われたくないなら剣道キャラを定着させなさいということだ。
要はあいつは剣道家だからゴルフには誘えないなというセルフ・ブランディングをしなさいという意味だが、別に意識するまでもなく、会社では自然と剣道家としてのキャラクターを確立している。
月曜と金曜、職場の傘立てには竹刀がよくぶっ刺さっている。母校の大学には実家からの方が近いので、週末を挟み実家と住まいの間で竹刀の運搬をするのだ。
当然、竹刀を携えて飲み会に行くことも多く、別にゴルフに恨みは無いが自然と「剣道家」キャラになっていた。
また、言うまでもなく私は無類の旅行好きだ。
旅行好きというキャラクターについては、入社時より意識して創り上げてきた。
連休には必ず有給を1つくっつけ、時に11連休を錬成して旧共産圏や北海道に高飛びをする。
あるいは業務の隙を見て、韓国や北海道に弾丸で特攻する。
そんなキャラクターだからか、もはや私が有給を取っても誰も何も言わず、連休前になると最低でも5人から「次はどこに行くのだ」と聞かれる始末だ。
一応、普段の業務には真面目に取り組んでいるし、キャラ付けをするまでもなく有給は取りやすい職場なのだが、やはりこういう世界観を築いてしまうと何かと便利である。
剣道と旅は、まぁ世間一般的に言えば健全な趣味と言って差し支えないだろう。
人の趣味にとやかく口は挟まないが、ガールズバー通いなんかと比べると義実家からのウケも良いに違いない。
剣道も旅も根本的には人付き合いなので、これらを趣味にしていると「人懐っこい」「フッ軽」などと思われやすく、飲み会などに誘われることも多い。
特に剣道には「縦の繋がり」という要素があるので、同期だけでなく先輩な後輩からもよく誘ってもらえる。
人見知りなので、向こうから誘ってもらえるのは何かと有り難い。
また旅好きという意味では、放っておいても体力や好奇心が旺盛と見なされるので、登山や「◯◯料理を食べる会」といった面白いイベントに誘われることもある。
かくして、旅好き、剣道好き、というキャラクターは実に健全であり、万事においてお得なのである。
結婚もせずに旅にうつつを抜かしているのは不健全であろうと、この記事を読んだ友人諸君は眉をひそめるのだろうが、そう思うのであれば、ジーパンが似合い、一緒に知床でシャチを見に行ってくれるような女性を紹介しなさい。
ここまでキャラクターを確立することについて好意的な意見を述べてきたが、一方であまりにキャラクターが定着してしまうと、イメージ・チェンジをするのに苦慮することもある。
弊社はいわゆるジャパニーズ・トラディショナル・カンパニーにつき、在宅勤務については他社に比べて成熟が遅かったのも事実だが、もちろん制度としてはある。
私の上長は指導の面において厳しい反面、制度の運用については理解があるため、他部署に比べて在宅勤務は取りやすいように思う。
実際に同僚の方々は(実質的な)在宅勤務の解禁から在宅をしているし、業務さえまわっていれば上長もとやかく言ってこない。ただ、私は頑なに在宅をしなかった。
上長もチームの後輩も出社せず会議も無い日だとか、大雪警報が出た日とか、これまで数回は在宅勤務をしたことはあるが、基本的には出社を貫いた。
これには他部署の先輩とちょっと雑談をするのが楽しいといった享楽的な理由、出社していれば大事な仕事を振られやすいという戦略的な理由、社食で昼メシを食べられるという戦略的な理由、エクストラエクストラ有り、ともかく自分が好き好んで出社していたので全く問題が無い。
そんな私であるが、この半年は非常にストレスフルな日々を送っており、毎朝相当な気力を振り絞らないと会社に足が向かなくなってしまった。
それでも仕事はキッチリやる主義なので律儀に出社を続けていたが、台湾から帰国後、ついぞ脳のフェール・セーフが働き、特に意味は無いのに在宅をすることにした。
出社しないというだけで仕事は山のようにあるので、もちろん普通に働いのだが、それでも破壊された脳が少し回復するような感覚があった。
だから、次の日も在宅勤務にした。
アウトプットもいつも通り出しているし、「出社キャラ」でも報われることは無かったので、もういいかなと思ったのだ。
とにかく、私は疲れていた。
ボキャブラリーもクソも無いが、色々ともう無理だった。
2日間の在宅勤務を経て出社したが、翌日は特に会議も無いので、また在宅にして資料の作り込みをしようと思った。
ただ在宅の申請をした後、PCにトラブルが発生したので、在宅は取りやめて出勤に切り替えることにした。
元々「出社キャラ」だったので、在宅勤務の予定が潰れること自体は別に構わない。あくまで業務優先だ。
問題は在宅取りやめの報告を上長にした時だ。
ちょうど会議室で2人だったのもあるのだろうが、何か在宅にする理由があるのか、体調は問題無いのかと上長から質問が飛んできたのである。
先述の通り上長は在宅という制度への理解があるので、これは在宅で仕事をサボっているなどと疑われた訳ではなく、恐らくは「出社キャラ」の私が急に在宅勤務を始めたことで黄色信号が点灯してしまったのだろう。
毎週この曜日は在宅、という同僚もいるし、正直1ヶ月ぶっ続けで在宅にしても累積日数という意味では課内で最下位だと思うのだが、それでも出社キャラが連続で在宅勤務をすると注目を浴びてしまうのである。
とはいえ、みんな在宅をしているじゃないか!ドン!(机を叩く音)と上長を問い詰める訳にもいかず、「たまたま会議が無かったもので」と張り付いたような笑顔で言う他無かったのだが・・・
この2年間で、私は「毎日出社する話好きの社員」というキャラクターを確立してしまった。
別に後輩に出社を強要する訳ではないので、私が勝手に出社する分には誰に迷惑をかけるでもないのだが、ともかく自分で思っている以上に「らしくないこと」をした時のインパクトは大きいようだ。
会社だろうが自宅だろうが真面目に働くので、今後はペース配分を考えながらも、大事な会議が無い時などは気にせず在宅にしようと思うが・・・
まぁ、部下の異変を目ざとく察知したのだから、私の上長がマネジメントとして優秀だったとも言える。
ここまで記事を書いて、はっ!と気付いてしまった。
「在宅をする出社キャラ」は悪目立ちして上長を心配させてしまうが、じゃあこれの対義語は何かと言うと、古典的な事例としては「動物に優しくする不良」だろう。
要はギャップ萌えであり、一般にこれは異性の心を掴むとされている。
長期連休なのに今回は海外に行かないの!?
そんなギャップから始まる恋もあると思うのだが・・・