筆者が愛してやまない旅人宿のネットワーク、とほ宿。
今回は、大樹町のとほ宿、旅うたりが催行しているジュエリーアイスツアーに参加してきたので、その様子をレポートしたいと思います。
よろしくどうぞご査収ください。
ジュエリーアイスとは
ジュエリーアイスは厳寒期の1月から3月に、北海道豊頃町の大津海岸でのみ観測できる自然現象です。
名前の由来についてはまぁ、能書きは不要でしょう。
読んで字のごとく、宝石のような氷塊、です。
(同じような自然現象は他の場所でも観察できますが、ジュエリーアイスの名を冠するのは大津海岸の氷のみ)
豊頃町はエリアとしては十勝地方になり、豊頃町の市街地から大津海岸までは車で30分ほど。
公共交通での不可能は実質不可能となっており、帯広からのツアーに参加するのが一般的です。
ただ大人数のツアーだとゆっくり滞在するのも難しいものですし、十勝には公共交通でのアクセスが難しいマイナーな絶景スポットが他にもたくさんあります。
何より旅うたりは筆者の推し宿なので、ここではアットホームな旅うたりのツアーへの参加を強く呼びかけたいと思います。
予約について
旅うたりのジュエリーアイスツアーの詳細は基本的に11月頃、ホームページにアップされます。
細かいところは年によって変わるかと思いますが、筆者らが参加した25年2月の情報を元に簡単に予約の流れや注意点をまとめたのでご覧ください。
※詳細についてはホームページで確認するか、宿主・水本さんに直接お問い合わせください。
・料金は1人で参加する場合は4500円、他に参加者がいる場合は3500円(宿代、飯代は別)
・ツアー定員は4人
・旅うたり自体が冬季は基本的に週末のみ営業
・ツアー参加希望者からの予約が1つでも入った時点で、ツアー実施日の前夜はツアー参加者のみ宿泊可能になる
・反対に普通のゲストが先に予約した場合、翌朝のツアーは開催されない(その夜は一般宿泊のみ受付)
・ツアー付き宿泊の予約後、またチェックイン後のツアーキャンセルはNG
・連泊の方が身体は楽だが、1泊だけしてチェックアウトする日のツアーに参加でもOK
・ツアー開催日は朝食の提供なし
ツアーの様子
さて、ここからはツアーの様子を紹介します。
ツアーは5時半に宿を出る体育会なタイムテーブルですが、旅うたりでは毎日23時まで飲み会があるので、我々も翌朝のことは気にせず最後まで飲み会を楽しみました。
まぁ、これが好きでとほ宿に泊まってるので・・・
なお、この時の宿泊客は筆者と会社同期TKTだけだったので、宿は貸切、宿主・水本さんを独占でした。
出発
5時過ぎに起床。
寒さに苛まれながら身支度を済ませます。
大津海岸に行ってしまうと、入口にある休憩所以外にトイレはないので必ず宿で済ませてから行きましょう。
絶望的に眠くはあるものの、水本さんが運転してくれるので我々はお喋りを楽しむだけの楽々移動です。
ところで、十勝晴れなんて言葉があるように十勝は基本的に雪が少ないエリア。
ところが、ちょうど筆者らの北海道入り前日に記録的な豪雪があり、写真の道も2日かけてようやく走行できるようになったようなのです。
ぶっちゃけ神奈川県民的にはこのレベルの道すら運転したくなく、水本さん様々です。
ジュエリーアイス
宿を出てから約1時間、6時半に大津海岸近くの駐車場に到着。5分くらい歩いて海岸を目指します。
左上の建物が休憩所のジュエリーハウスです。
ジュエリーアイスは、十勝川の氷が大津海岸に漂着する現象。氷が出てくる河口まで片道30分はあるので、必ずトイレは済ませておきましょう。
寒さに耐えながら海岸を目指します。
ジュエリーハウスの温度計によると、この日の気温はマイナス10℃。ただ声を大にして言いたいのは、体感温度はこんなものではない!!
悪天候でなくともデフォで海風を喰らいますからね。
筆者はかつて標茶や池田でマイナス20℃を体験しましたが、ぶっちゃけそれよりさらに寒かったです。
ノースフェイスを着込んでも全然足りない。
ニット帽はもちろんのこと、ネックウォーマーは必須です。
某アーティスト(名前を口にしたくない)の「炎」のような海岸を歩いて行きます。
\手を伸ばしー/
歩き始めてすぐ、念願のジュエリーアイスと遭遇!!!
・・・と言いたいところだけど意外と小さい?
正直、観光案内やFacebookに投稿される「ベストコンディションの」ジュエリーアイスの写真を見ていたので、大きさについては肩透かし感がありました。
「オセアニアの島国で使われていた石の貨幣」くらいでっかいのがゴロゴロ転がってるのかと思っていた。
そんな雰囲気を察してか、水本さんが提案してくれた遊び方はいかにジュエリーを美しく撮影するかというもの。
小ぶりな氷でも、接写して朝日の差し込み方を工夫すれば一気に芸術品に化けます。
と、言う訳で、筆者らも面白い形の氷、小ぶりでも形が良い氷を探して海岸を彷徨うことにしました。
砂で汚れている氷は海水で洗ってから撮影します。波を回避しながらの洗濯になるのでスリルも味わえました。
最初こそイメージしていた大きさとのギャップに少しがっかりしましたが、氷の形は千差万別で自然現象の面白さを存分に味わえました。
写真撮影が趣味の人は堪らないでしょうね。
水本さんはシーズン中、何回も大津海岸を訪れるので、氷の良し悪しというものを熟知していらっしゃいます。
前日はたくさん氷があっても波で流されてしまえばジュエリーには会えないし、逆も然り。
こればかりは自然現象なので予測ができません。
そしてこの日は氷の状態があまり芳しくない日ということで、やや諦めムードは漂うもののとりあえず海岸のもう少し奥まで進むことにしました。
私は雰囲気に浸りたい派なので、写真をそんなに撮らなくてもこの海岸を眺められれば満足です。
ジュエリーが無くても情緒的な景色だと思います。
会社同期TKTは私よりずっと写真撮影が好きなので、色々な氷を探しては熱心に撮影していました。
寒さにマケズ歩いていると、氷の量が明確に多い一帯に辿り着きました。河口付近です。
オセアニアの石の貨幣のような迫力こそありませんが、これくらい氷がゴロゴロ転がっていると見応えあります。
とほ宿大好きな筆者が、旅うたりのホームページやFacebookを探検している時に見つけたのがジュエリーアイスでした。
それから1年、ようやくその実物を拝めたかと思うと何とも感慨深いです。
頑張って現地に足を運んだ苦労が報われるとは限らないけど、たまの一発逆転で心を揺さぶられる。
これが大自然の魅力です。
夢中で景色を満喫し、気付けば海岸に来てから1時間も経過していました。
そろそろ身体に寒さが蓄積してきたので、最後までジュエリーを楽しみながら帰路につきます。
ジュエリーハウスで休憩
ジュエリーハウスはジュエリーアイスのシーズンのみオープンする休憩所です。
大津海岸付近には他に朝からやってる店なんてないので、ここですこし休憩してから次の目的地に移動します。
冷え切った身体にぶち込むコーヒーは格別の美味しさ。
飲み物の他に、たい焼きやツブ貝のカレーもありました。
おみやげコーナーも併設されています。
ここで買った行者ニンニクのバジルチーズペーストは、鍋にも揚げ物にも合うしそれ単体でも酒のつまみになる素晴らしい逸品でした。
ハルニレの木
ジュエリーアイスの後もツアーは続きます。
ジュエリーアイスが厳冬期限定の切り札なら、お次の目的地・ハルニレの木はオールシーズンで君臨する豊頃町の真のエースです。
ジュエリーハウスから豊頃町の市街地までは20分くらい。
ちなみにJRの豊頃駅から大津海岸までのバスは無く、実質駅に公共交通機関での観光は封じられています。
さらに市街地を10分から20分ほど走り、ハルニレの木に到着しました。
土手を降りて木にアプローチします。
これが豊頃町のシンボル、ハルニレの木です!
新緑の季節も良いんだろうが、北海道好きとしてはこの雪景色は堪らん!!
ハルニレはおしどり夫婦よろしく、2本寄り添う形で生えています。俺は木にも負けるのか・・・
朝日堂のドーナツ
さて、ここまでジュエリーアイス、ハルニレの木と観光してきましたが、ここらで小休止おやつタイム。
否、水本さんに言われれば、これこそジュエリーアイスツアーの真打ちなのだ・・・
そういう訳で朝日堂に到着しました。
この朝日堂、見た目は田舎のなんてこと無い和菓子屋ですが、グーグルマップで500超のクチコミがあり、さらに☆4.3という化け物のような店なのです。
まず驚くのはその驚異的な安さ。
ドーナツが1つ150円以下と大変リーズナブル。
というかグーグルマップ見るに5年前からほとんど値上がりしてないみたいですね・・・
ドーナツ以外にも、通常の和菓子、それから洋菓子ともに種類豊富です。
ジュエリーアイスの帰りと思しき観光客は以外にも少なく、近隣の住民の方がおやつを買いに来ている感じでローカルさが漂っていました。
各々ドーナツを見繕い、朝日堂の斜向かいにあるココロテラスという町のコミュニティスペース的な複合施設でお楽しみのおやつタイムです。
館内には物販コーナーもあり、豊頃町の土産物だけでなく日本の他の地方都市の特産品や輸入食品なども取り扱っていました。
コーヒーも買えます。
さぁ念願のドーナツ。
まずはカスタードです。
濃厚で甘いカスタードクリームが身体に染み渡ります。
そもそも早起きして、朝メシ抜きで寒さに耐えながらの観光後です。旨いに決まってるんだよなこれ。
お次はツイスト。
これにはクリームや餡などは入ってなく、生地とザクザク砂糖を楽しむタイプのドーナツです。
生地はカスタードのものより硬く、食べ応えもあって美味しいですが、クリーム入りのものに比べると少し地味な感じかも?
お次はチョコ。
これも生地は硬め。
チョコの甘さは程よい感じで美味しい。
最後は生クリーム。
個人的な感覚ですが、カスタードより甘さ控えめで爽やかな感じ。もちろん最高に美味しいです。
筆者な生クリーム&カスタードが一番おすすめ。
ただどれも安いので、全種類コンプリートするゲストも多いんだとか。
水本さんはシーズン中、朝日堂のドーナツをほぼ毎週食べるのに全く飽きないようです。
たしかに、あまり甘い物を食べない筆者でも夢中で貪ってしまうくらい美味しかったですね。
ジュエリーアイスのシーズンでなくても、ドライブの途中に立ち寄りたいなと思いました。
冬の十勝ドライブ
ジュエリーアイスツアーの基本パッケージは朝日堂ドーナツでおしまいです。
ただし、以下の条件が揃うと延長線が始まります。
・ツアー催行日に宿泊客がいない、あるいはツアー参加者の連泊のみ
・ツアー後、すぐに他の町に移動する人がいない
・ツアー参加者がみんなノリがいい
・水本さんの気剣体が一致している
今回は連泊の筆者ら以外にゲストがいない上に、筆者は旅うたり2回目で水本さんにも顔を覚えてもらっている。
つまり上の条件4つを全て満たしているので、このままドライブ続行&ランチと温泉まで楽しめる運びとなりました。
道の脇に積み上げられた雪の高さが、数日前の豪雪の凄まじさを物語っています。逆に言えば、こんな雪が2日前まで道に積もっていたということになります。
この豪雪で当然ながら交通麻痺に陥った訳ですが、帯広から中札内や旅うたりがある大樹町を通り、広尾に至る広尾線も筆者らの旅行当日まで運休でした。
旅行当日になっても帯広市街では除雪しきれず、道道の除雪が完了したことでなんとか町と町の間の移動はできるようになったのです。
つまり、除雪があと1日遅れていたら大樹町には辿り着けなかったということ。神奈川県民からしたら雪景色!非日常!ですが、十勝住民にとっては雪=重労働ですよね。
道道の除雪に携わった全ての方に感謝です。
お目当てのレストランは更別村にあるので、道道を飛ばしていきます。
道中では北海道の話、とほ宿の話で盛り上がりました。
私は岐阜市の岐てんというゲストハウスで「とほの本」を読み、その年の夏に豊富町のあしたの城に泊まって以降、とほ宿の魅力に取り憑かれている訳ですが、いくらTKTのコミュ力が高いといっても、昭和気質なとほ宿に馴染んでくれるか些か(いささか)不安でした。
まぁ、TKTと水本さんで「ニンニク一味同盟」を結成するくらい、豚丼にスイーツにと北海道グルメの話で大いに盛り上がってくれたので杞憂に終わったんですけどね。
・あなたはこれから北海道に100回、200回と来ることになる(池田北のコタンユースの常連さん)
・あなたは、とほ宿に一緒に泊まってくれる人と結婚しないと駄目なの(いちえのケイコさん)
北海道の旅人宿、とほ宿は「最高」です。
十勝の絶景を眺めながら進みます。
ランチにはまだ早すぎるので、近くの馬牧場を車内から少し見学。
ちなみに更別村と中札内村の境目のあたりをウロウロしています。
この旅行の初日は中札内にあるとほ宿のカンタベリーに泊まったので、1日ぶりに戻って来た感じです。
↑更別の町内
ピザランチ
10時50分にお目当てのレストラン、ピッツェリアツカに到着。12時開店なので、堂々の一番乗りです。
ただ筆者らが到着後、続々と他のお客さんもやって来たので、1巡目で入りたい人は11時過ぎには来ると良いでしょう。
代表1名が並んでいれば良いというルールなので、私とTKTが交代で順番取りを務めました。
12時に、満を持して入店。
まずは前菜としてサルシッチャを注文。
私とTKTは図々しくビールまで飲みます。
早起きして一仕事(ジュエリーアイス)を終えてからの1杯は格別です。
この旅行中、というより今もですが、現実逃避の一環として大量のアルコールを摂取しています。
良くないと思うなぁ
そしてお馴染みのピッツァです。
マルゲリータ!
生ハムとルッコラ!!
クアトロフォルマッジ!!!
どれもこれも最高に旨い。
チーズの美味しさが別格過ぎる。
生地は薄めなので、2ピース×3種類の6ピースじゃ正直足りないんでは?と思っていましたが、チーズがあまりに濃厚なのでかなりの満腹感を味わえました。
このツカ、水本さんのFacebookを見ていつかずっと来たいと思っていたのです。
更別村は観光地としては極マイナーだけど、すぐお隣は観光的にも有名な中札内だし、十勝ドライブの道中で訪れたら奥さんのハートを鷲掴みできますよ。
温泉
ジュエリーアイスツアーで立ち寄る温泉はいくつか候補がありますが、今回は一番ベーシックな十勝エアポートスパそらに行きました。
こちらの住所は中札内村で、5分も歩けば先述のカンタベリーです。
温泉として見るとお湯は他所から持って来たものだし、観光客向けなので料金もお高め。
中札内「村」と言っても、温泉があるのはフェーリエンドルフという観光エリアです。
ただ、早朝から寒空の下で遊んできたので、程よい湯加減の温泉は実に身体に染みました。
やっぱり温泉は北海道旅行の醍醐味です。
帰路につく
温泉でHPを回復させた後は更別村のお菓子屋に寄り
一路、大樹町に向かいます。
旅うたりに限らず旅人宿ではチェックアウトとチェックインの間(概ね10時から16時ころまで)は連泊でも館内滞在NGのところが多いものですが、ツアーに参加したということで今回は特別に宿で昼寝してて良いみたいです。
筆者らは道の駅コスモールで降ろしてもらい、コスモールやスーパーで土産と今夜の酒&つまみを買って各々宿に戻ることにしました。
ちなみにコスモールなんて大層な名前をしていますが、実は大樹町にはロケットの発射場があることで有名です。
そしてホリエモンの資本が入った店が町内にいくつかありますが、それはまた別のお話。
私は酒&つまみを買った後、1時間くらい歩いて宿まで買えることにしました。
こういう時だけ行動的なのである。
ちなみに旅うたりは最寄りバス停から徒歩10分、そして帯広と広大を結ぶ広尾線は概ね1時間に1本は走っているので、自力でのアクセスが難しい宿も多いとほ宿の中では珍しく公共交通機関でのアクセスが容易な宿です。
素晴らしい景色を眺めながら歩いて、宿に帰還!
残念ながら動物には会えませんでした。
十勝は飯も景色も素晴らしいけど、動物との遭遇率は道東や道北より低いんですよね。
帰還後は昼寝をして、夕方から酒を飲みます。
水本さんが作ってくれる旨い鍋をつつきながら酒を飲みます。
そして旅話を楽しみながら、大樹町のスーパーで買った総菜やチーズを肴に酒を飲みました。
どんだけ飲むねんって話ですが、会社で破壊された脳を回復するには酒しかないのですよ・・・
そんなこんなで長い1日が終わりました。
はっきり言って大満足です。
旅人宿最高。
コメント
ジュエリーアイスは一見の価値ありです。
氷そのものの美しさもさることながら、極寒に耐えながら早朝の砂浜を歩くというシチュエーションも素晴らしい。
朝日堂のドーナツも(必ず行ける訳ではないとはいえ)ツカのピザも美味しく、とにかく隙が無いツアーでした。
今回のドカ雪はイレギュラーとしても、路面凍結もあるし個人のドライブは少し怖い。じゃあ帯広からのツアーはというと、自分のペースでゆったり海岸を歩くのは難しいでしょう。ゆえに旅うたりのツアーに参加するのがおすすめ。
ジュエリーアイス、また見たいです。